執筆作業

小説を投下する場所

うんこマン・レジェンド 34話目 発想

第二〇球目。ようやく目が慣れてきて、球筋を追えるようになった。まだ一回もバットに当たっていないが。到達時間〇.二八八秒でも素人には早すぎる。第二一球目。バットを振る。わずかだが掠った。ボールは後ろに行ってネットに当たったが、斜め上方向に跳ねた。バットに当たった証拠だ。ほんの少しずつ見えるようになってきた。ボールとの格闘が始まった。

第百二十球目を終えて結果は……合計三十回くらい掠った。バットの芯でボールを捉えることはなかった。まぁ一日目にしては上出来ではないだろうか。

三十球二〇〇円なので百二十球で八〇〇円。

このバッティングセンターは安い方だが毎日のように来てると財布が空になるな。一日八〇〇円分打つとして残り三十七日。約三万円くらいか。学生の身としては若干キツいな。

普通の学生ならバイトを探すだろうが俺の場合は五歳頃から貯めたお年玉貯金がある。

総額は約四〇万円程度だったはずだ。過去の無欲な自分に感謝せねばなるまい。この前低酸素マスクとケトルベルを買って残高が二万円程度減ったがな。

雨なので傘をさして家に戻る。

途中の道でマンホールの上をうっかり歩いて滑って転ぶ。

膝が痛い。擦りむいたか。試しに脚を曲げたり伸ばしたりしてみたが痛くはない。捻挫はしていない。日課のトレーニングには支障はなさそうだ。

しかし雨の日はマンホールは滑る。なんでかわからないが滑る。

何か引っかかる。なんだかいい発想が浮かんだ気がした。

そうか。足元を滑らせればいいわけだ。このアイデアなら薬袋のパンチの速度を落とすことができる。バッティングセンターの最大時速二〇〇キロメートルの球を打てるようになればおそらくパンチを見切れる。