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うんこマン・レジェンド 31話目 いい子ちゃんのいじめっ子集団

これ以上濡れ鼠になっていても益はない。瀬元をからかうだけからかったので俺は家に退散することにした。

「じゃあな」

瀬元は答えない。泣いているのだろうか? 雨でわからない。

「……どうすればよかったと思う」

立ち去ろうとする俺の背後で瀬元がそう言った。こいつに散々いじめられていた俺としては雨音がうるさいせいで聞こえないふりをしてもよかったのだが。 

「井原にいじめの口封じを指示しなけりゃよかったんじゃねーの」

そもそも井原のご威光であの醜悪かつ滑稽な環境が成立していたと言っても過言ではない。

いじめをやっても咎める人間はいない。いじめをやった証拠すら残らない。

安全地帯からいじめることに慣れすぎていた瀬元の取り巻きは井原の口封じがなくなった時点で瀬元の言うことを聞かなくなった。

他の学校でいじめがどのように行われているか知る由はないが、おそらくいじめの主犯格の怒りの矛先が向かないように取り巻きはいじめの主犯格の顔色を伺って行動する。恐怖による支配だ。

だが瀬元の場合は井原のカリスマに依存しすぎた。取り巻きを恐怖による支配ではなく真っ当なコミュニケーションで維持していたので薬袋の出現で一気に瓦解した。変なところがいい子すぎたわけだな。

恐怖で支配していればいじめをすることにメリットがなくなってもいじめをやめない取り巻きがある程度残ったはずだ。かなり異常な奴らではあるが。

もし五人くらい残っていれば、薬袋を排除することは容易だった……多分な。

俺の一言でここまでの真意が伝わったかわからないが、瀬元は黙って聞いた。沈黙は肯定と受け取る。

さて家に帰るか。くだらない会話だった。