執筆作業

小説を投下する場所

うんこマン・レジェンド 27話目 疑問

 左ジャブ。実際はジャブというほど様になってないが、下手くそなりに打ってみる。

 殴られ屋は苦笑いしながら目で見て躱す。俺のジャブが遅すぎて全く牽制になってないが、タイミングを見計らって右ストレート。テレフォンパンチにならないように腰と肩を使って殴ったつもりだが、やはり空を切る。

 上体が沈んで顔面を捉えれなかった。殴られ屋はそのまま俺の横に立ち位置を変える。

 伸びきった腕を強引に引き戻し横にいる殴られ屋に右フック。腰の回転も加えて打つ。しかしフットワークで身体を捌いて躱される。

 殴られ屋が口笛を吹く。

「ジャブとストレートは全然ダメだけど……フックは綺麗だなぁ! なんかスポーツやってた?」

 いや特に。あーでも小学五年から中学一年までテニスをやってたな。週二でテニスクラブに通ってたが全然上達しなかった。テニスのラケットを振る動きがフックに似てるのかもしれん。

 しかし全然当たらん。あの当たったのはボディーブロー一発だけか。ヤクザの妨害で動きが止まってたから当たっただけだが。

 ピー! 殴られ屋のスマホのタイマーが鳴った。

 第二ラウンド終了。

 早速質問の続きをする。

「薬袋衛吉はなんで有名なんですか?」

「ああ。全国ジュニアボクシング大会ってのがあるんだけど……十五歳以下しか出れない大会でさ」

ボクシング大会で有名になったのか。

「中学生の六十三キログラム以下級で中学一年生の時点で優勝したから有名なんだ」

優勝……。

「体重がモノを言う階級なのに、中学二年生と中学三年生を押しのけて優勝。しかもパンチのキレがすごくて全員TKOで倒した。有名にならないはずがない」

本当にすごすぎるんだよ……と殴られ屋は呟く。

疑問がよぎる。なんでそこまでの経歴があるのに不良になってしまったのか。百歩譲って色情魔になるのはいい。タバコなんて吸ったらボクサーとしては致命的だ。

「まぁ調子に乗ってプロボクサーを挑発しなければあんなことにはならなかっただろうに」

あんなこと?