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うんこマン・レジェンド 26話目 悪知恵

殴られ屋はレーザーポインターの妨害を振り切るために頭を左右に振る。フットワークと合わせて的を散らしているのでヤクザの手元は追いつかない。
気にすることはないと言うなら、遠慮なく殴らせてもらいますか。仕切り直して殴られ屋の頬に目掛けて右フック。当たるか……と思った瞬間。殴られ屋の上体がグッと沈む。右フックは空を切った。俺の腕の下を潜る。殴られ屋の急接近にビビりながら左ストレート。また空を切った。今度は後ろに下がりながら上体を反らして避けられた。ニコッと笑った。完全にナメられてるな。

まぁ向こうも殴りがアリなら一瞬でコテンパンにされるのはわかる。実力差がありすぎる。

しかしレーザーポインターの妨害を避けるために動きが常に忙しないな。かなり体力を無駄に消耗しているだろう。だがそこは流石元プロボクサー。微塵も疲れた様子は見せない。 

ヤクザからの着想だからあまり褒められた手段ではないだろうが、薬袋にもこのレーザーポインターによる目くらましは有効だろう。

レーザーポインターを避けるために動けばその分体力を余計に消耗する。タバコを吸っているボクサー崩れだから体力はだいぶ低下しているだろうしな。

まぁとはいえ決定打にはならないし、何より薬袋は殴られ屋と違い、積極的に殴ってくる。不用意にレーザーポインターなんかを使って挑発したらメリケンサックとかを出してくるかもしれない。そうなれば勝ち目はない。

ピー!

殴られ屋のスマホのタイマーが鳴った。第一ラウンド終了。

「一分間の休憩の後に第二ラウンドです。好きに休んでください」

殴られ屋は殴られ足りなそうな顔をしてるが、元々の目的はあんたに話を聞くことだからな。息切れしてちゃ話せない。

「あのー聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

殴られ屋は一瞬怪訝な表情をしたが、対応する。

「内容によるけど……休憩中だしいいよ。答えられることなら」

「じゃあ短刀直入に。薬袋衛吉ってボクサー知ってます?」

「知らな……くはないな。面識ないけど。アマだけど下の世代の有名人だし」

姉貴の勘は当たってた。

「どれくらいの有名人なんですか?」

ピッピッ。一分間の休憩時間終了のタイマーが鳴った。

「次の休憩で話すよ。第二ラウンドを始めよう」