執筆作業

小説を投下する場所

うんこマン・レジェンド 25話目 殴られ屋という仕事

財布から千円を出して払うとマジックテープで固定するタイプのボクシンググローブを渡された。

「ではこちらにどうぞ〜。三ラウンド千円です。自分からは一切殴りませんので好きに殴ってきてください。ただしボクシングにない殴り方……裏拳とか掌底打ち、また足技や後頭部への攻撃は反則になりますのでご注意ください〜。反則をした場合は1万円追加で支払ってもらいます」

四方の照明が照らしている裏路地の真ん中あたりに誘導される。殴り屋はシャツの首からスマホを取り出す。自分の首にホルダーでかけてるようだ。

「ではまず第一ラウンドからです。三分間殴ってきてください。その後一分間休憩してから第二ラウンドです」

スマホの画面を俺の方に見せる。タイマーは三分十秒に設定されていた。

「ではタイマースタート。どうぞ好きに殴ってきてください。十秒はオマケです」

悠長にとくに構えもせずシャツの中にスマホを入れ直している。俺は殴りかかった。

テレフォンパンチだから当然躱されるのは予想してたが、パンチが空を切った瞬間、殴られ屋が……消えた。え、どこ?

肩をポンと叩かれる。後ろに回り込まれていた。早すぎだろ。

振り向いて構え直す。そういやボディは禁止じゃなかったよな。ボディブローで動きを止めるか。

殴られる心配はないから手をダラリとしたままダッシュで近づく。

距離を詰めて脇腹を狙いボディブロー。

躱すかと思いきやボディにモロに入る。ボクシンググローブ越しにもわかるほどの鋼の腹筋。効いてる様子はない。

しかしなぜボディブローを避けなかったのかと思って殴られ屋の顔を見ると緑色の光が目に当たって眩しそうにしている。

ビルを背にして立っているヤクザの一人がレーザーポインターで妨害していたのだ。

あの人ショバ代払わないし……って姉貴の言葉を思い出した。こいつら全員殴られ屋の営業妨害か。てっきり観客かと。ヤクザにしてはやることが狡い悪ガキ並みだな。

「あーお客様。気にしなくていいですよ。続けましょう」

殴られ屋がそう言った。