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うんこマン・レジェンド 10話目 小事件・大事件

九死に一生の好機を得て、無事に女子トイレから脱出した俺は、女子トイレに入って興奮する変態のそしりを免れた。気絶させられた俺が女子トイレにズボンとパンツを脱がされて放置されたのをあえて小事件とするならば、注目の大事件はあの時、隣の男子トイレの方で起きていたらしい。

昨日は誘拐紛いのことをされたので登校時間を少し遅めにズラした。周囲を警戒しながら、他の生徒と合流する地点までようやく辿り着く。ここまでくればそう易々と手出しはできまい。

他の学年や他のクラスの生徒もこの道で登校しているが……なんか二人以上で仲良く登校している奴らのほとんどがヒソヒソ声で何かを喋っている。異様な感じだ。昨日のことがバレて噂になってる? 嫌な汗が出る。確かめるか。

過集中発動。耳をすませる。

「まさか井原さんがね〜」

女子グループのメンバーの声だ、他のクラスだが。

井原は俺のクラスの女子のリーダー格。多分街に出かければ、通りすがりの同年代の男子を十人中九人くらいは振り向かせるくらいの美少女。

女王様気質でクラス内のいじめの事実を女子たちに口裏合わせを指示をすることで毎回隠蔽する。逆らった女子は大体数日で考えを改める。

よく考えればクラスの女子たちも全員がいじめ好きの性根の腐った人間というわけではない。井原がいるせいで強制的に傍観者に仕立て上げられているだけだ。無論いじめに積極的に加担する女子もいるが……。

ただ井原と言えば、クラスのまとめ役でいじめの主犯格であるあのヤローの彼女だったはず。

何かあったのだろうか?

「俺もヤりてー」

今度は別のグループのメンバーの声。他のクラスの男子。

あのヤローがついに……なんか嫌な話を聞いちまった。そりゃ中学生だもんな……ある程度関係が進んだらヤることはヤってるよね!

しかしあのヤローはまだ清い男女交際をしている感じで……高校生までは自重しているような話を小耳に挟んだ記憶があるのだが。

担任すらもスクールカーストに取り込んでいじめの証拠を握り潰すのは簡単でも、不純異性交遊は話が別だろう。いじめと違って隠蔽が難しいし、噂には尾ひれがつきまくる。案外迂闊だな。

色々考えていたら学校に着いた。

なんか教室が騒がしいような……。

教室の扉を開けたら、椅子が顔に飛んできた。

びっくりして尻餅をついた。緊急回避。危ねえ!当たったら大怪我だ。

怖くて匍匐前進して教室の中を見ると喧嘩の真っ最中だった。

椅子を振り回すいじめの主犯格、あのヤロー。

軽いフットワークで薬袋がそれを躱している。

薬袋の軽いジャブがあのヤローの顔に三発入る。あのヤローの体勢が崩れかける。だが、倒れずに踏み止まった。鼻血がダラダラ垂れている。

ざまぁみろと思いつつ、よく状況が飲み込めない。

どゆこと?