執筆作業

小説を投下する場所

うんこマン・レジェンド 6話目 一時の安寧

茶髪が地毛らしい。風で髪がなびいた時に日光に当たると透き通っていたので本当だろう。

地毛を染めてると指摘した奴は数秒で蜂に刺されたみたいな顔にされた。よほど癪にさわるようだ。ガタイのいい柔道部や長身のバスケ部の奴が一瞬でやられるのは何かアクション映画の撮影を見てるみたいだった。パンチが早すぎる。

薬袋は俺が便所飯をしているトイレでタバコを頻繁に吸うようになった。中学の時点でかなりのヘビースモーカー。男子トイレの個室は二つなので窓際の方の個室は薬袋専用の喫煙室になった。

洋式トイレではあったが、暖かい便座ではなかったので、中学のトイレには火災報知器がついていなかった。消防法で設置義務がないはずだ。なので人目を避けてタバコを吸うには恰好の場所だったのだろう。

いじめっ子たちに見つからないために俺は毎日便所飯をするトイレを変えていた。にも関わらず、なぜかいつも同じトイレに入ってくる不良に内心ビクビクしていたが、すぐに慣れた。というよりもこの不良と同じトイレにいると複数のいじめっ子たちに便所飯を妨害されないことに気がついた。多少煙たいが、飯を食えないよりはずっとマシだ。

トイレから出てくる時に鉢合わせると「チクんなよ」と言われた。当時は俺の背丈が低かったこともあって、かなり威圧感があった。軽口を叩く余裕もなかったので、ブンブンと首を縦に振った。薬袋はあっち行けみたいな感じで手を振ってくれた。俺は教室に戻った。

とにかく薬袋がやってきてから平和に便所飯ができるようになった。感謝の念は自然に湧いた。まぁ薬袋はとくに何もやってないのかもしれないが。

俺は気づかない。たしかにいじめっ子たちのほとんどは薬袋にビビって近づくことはなかった。しかしあのいじめの主犯格は俺の考えるよりもはるかに狡猾だった。

事件はある朝に起きた。