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執筆作業

小説を投下する場所

うんこマン・レジェンド 2話目 便所の悪魔

「ベルフェゴール!」
静寂を打ち破る女の声。男が女子トイレに入るのは罪を問われるのに、女が男子トイレに入るのは罪に問われない。代表例は大阪のオバチャン。トイレの住人としては法の下の不平等を是正してくれる政治家の出現が待たれる。ただ生憎俺はまだ十八歳ではないし、そんな公約を掲げる政治家はおそらくいない。
「ベルフェゴール、我が呼びかけに……応じよ!」
相変わらず声がでかい。演劇部に入ればいいのにな。これ以上黙っているとトイレに人が集まってきてしまう気がする。ここは昼休みの時間でも人が少ないから優雅にまったりと便所飯ができるベストトイレなのに台無しになりかねない。
「何だ中二病の少女よ」
刺さる言葉を言ってやった。
「ベルフェゴールよ! 声が小さい! 何を言ったかわからぬ!」
どうやら個室の壁を隔てているのと俺の地声が低すぎるせいで聞き取れなかったようだ。けして声が小さいわけではない。稀にある。
「何の用だ! ここは男子トイレだ! 用件は聞いてやる。 だが、用件を伝えたら早急に立ち去れぃ!」
それなりに滑舌よく地声より少しだけ高めに発声する。
「……ベルフェゴール? 何か怒ってる? うんこの途中だった?」
急に声がしおらしい感じで小さくなる。おい、単に中二病的な演技に合わせてやっただけだ。怯えるな。

「別に怒ってない。うんこはこれからだが」