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うんこマン・レジェンド 1話目 大罪の名は

 うんこを初めて漏らしたのは幼稚園の年少の頃だったという。
 幼稚園児のうんこ漏らしは別段珍しくない。物心つく前の話なのでどう思えばいいのかもさっぱりだ。
 ただ俺は高校生になった今もうんこを漏らし続けている。パンツの中が毎度しっとりと暖かい。
 小学生の頃のあだ名は「うんこマン」、中学生の頃は「菌」、高校生になった今じゃ「知的障害者」である。
 とくに腸や肛門に機能的な障害を負っているわけではない。自閉症特有の過集中のせいでトイレに行くタイミングを逃し、気づいた時には手遅れになるのだ。
 そんなわけで俺はクラスでは「頭の足りないかわいそうな子」扱いされていた。
 俺が登校している学校は一応進学校である。うんこを漏らす原因である過集中のおかげで勉強だけはそれなりにできるのが悲しい。どうせなら養護学校に行きたかった。親は知的な遅れがないのに養護学校に行かせるのは嫌なんだろう。たしかに知的障害ではないが発達障害ではある。個人的にうんこを所構わず漏らすのは知能指数の低さより深刻だと思うのだが、両親はまるで意に介さない。
 便所飯は俺の日課だ。ちなみにいじめられているから便所飯をするのではなく、食後に排便したくなる確率が高いために便所で飯を食べるのである。この学校は頭の程度がいい学生が多い。なので中学生の時ほど積極的に俺をいじめる奴は少なくなった。新しい校舎だから便所はホテル並みに綺麗だし、過去の過酷な環境に比べればもはや天国同然かもしれない。便所飯で天国を感じる俺は人間の尊厳というものが著しく損なわれているのかもしれない。かといって「絶えず幸福になろうとあがくとけしてわれわれは幸福になることがない。」みたいな感じのことをどこかのギャンブラーが言ってたのでほどほどの幸福で満足すべきなのだ。