読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

執筆作業

小説を投下する場所

死体三つ②

小説執筆

自分を含めた三人が死んだと警察に誤認させる必要がある。
まず台所の乾物が入っている棚からゼラチンパウダーを探す。
あった。約一キロ。
止血するには多少心許ないか。
再び納戸へ向かう。ゴキブリを凍結させるスプレーが三缶見つかった。未開封である。ありがたい。
玄関にある柱に自分の身体を括りつけるためにロープが必要である。
キャンプで使うテントのロープを二階にあるクローゼットで発見した。これを使うことにした。
テントのロープと一緒にキャンプの手引きの本が見つかった。ロープの結び方は参考になる。
ノコギリを洗面所でスポンジを使って丹念に洗う。最初は石鹸で洗い、一旦水ですすぎ、次に殺菌作用のあるうがい薬を大量にふりかけながら刃の部分をうがい薬の溜まった洗面器につけておく。
ホエイプロテイン三温糖と旨味調味料とラードと経口補水液をシェイカーを使って混ぜる。
正直気休めだが……脳内物質が極限の状態を救う可能性はゼロではない。ぐいっと飲み干す。
手ぬぐいを洗面所で濡らす。
濡れた手ぬぐいをねじり鉢巻のようにきつく絞る。
そして絞った手ぬぐいの真ん中を口で咥えて両端を首の後ろで結んだ。
歯が割れてしまうのを防ぐためだ。
柱に工具箱にあった釘をハンマーで打ち付ける。最初にロープを引っ掛ける際に必要である。
テニスのグリップテープで消毒済みのノコギリの柄と右手を固定する。途中で落としては意味がない。
ロープで身体を柱に抱きつきながら括りつける。左手だけしか使えないので難儀した。
両腕と両足以外は動けないくらい何重に巻きつけたのを確認した。
準備は整った。
あとは覚悟だけだ。やけに汗が冷たく感じた。

手ぬぐいを強く噛み締める。
俺は右手首のスナップをきかせて思い切り自らの左前腕の真ん中辺りにノコギリの刃を振り下ろした。

 

カクヨムに投稿しました

第2話 - 死体三つ(得道小路) - カクヨム