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執筆作業

小説を投下する場所

死体三つ①

小説執筆

母と父を殺した夜が明けた朝。
普段から家に引きこもりがちで出不精な母はともかく、父の不在はすぐに発覚するだろう。
無断欠勤で勤務先から電話がかかってくることは間違いない。
電話は無視するか、低めのトーンで応対すれば父を装うことはそこまで難しくない。
よって死体を処理する時間は今の季節を考えると約二日程度あると予想した。
十二月二十五日。
クリスマスの朝である。

今朝はかなり冷え込んでいる。氷点下三度。死体が冷えて腐臭が漂わないのは結構なことだが、防寒着を着込まないと風邪をひいてもおかしくない。室内に居ても暖房はつけれない。
母は絞殺。父は刺殺した。弟は上京してここ数年帰っていない。
刺殺した父はベットに横たわって死んでいるのでしばらくはこのままでいいが、問題は母の方だ。ソファで絞殺した時に大と小の両方を洩らした。不潔ではあったが、極力道具を使わずに排泄物を処理した。大便は手掴みで水洗トイレに持って行き流した。小便はティッシュで床を拭いた。大便を下手にスコップで取ると付着物で動かぬ証拠が残ると思った。それを考えるなら父親を刺殺した際に飛び散った血液を気にするべきなのだが、血液を素人が処理するのは手に余る。今は死後硬直で筋肉が硬直しているが、死後硬直はだんだんと緩んでいく。死体が腐らなくても排泄物をいずれ撒き散らすのは確実である。そして悪臭は近所にバレる。
なんでこんな特殊清掃員のような心配をしなければならないのか? 殺した後にウンザリとする。
目下のところ二つの死体をどう処理するのかが問題だ……。処理するのは早ければ早いほどいい。
死体を切断して圧縮鍋でコトコト煮て肉と骨に分解することを考えた。父は刺殺したのでこの方法でいいかもしれない。
すでに血液が飛び散ってしまっているのでこれ以上どう飛び散ろうが変わらないからだ。警察の鑑識が来てルミノール反応とやらで血痕を発見されるのは必定である。
ただ母の方はわざわざ絞殺に成功したのに死体を切断して処理するのは愚行だろう。
一瞬、父を母が殺して母は首を吊ったことにすればいいのでは……と思いかけたが、愚策もいいとこだ。
自分が俳優ならばともかく、第一発見者兼容疑者として警察相手にシラを切り倒す自信は皆無だ。
家に放火することを考えた。焼け跡に死体が三つ出なければならない。焼けた死体から身元を確認する方法は限られるはずだ。
歯型。骨の遺伝子鑑定。骨の形から身元を割り出すこともできるか。もし年齢がわかるなら致命的だ。ならば年齢がわかる骨の部位は地面に埋めるなり隠蔽する他ない。ネットで調べる必要がある。
常々思うことだが、痛みを伴わねば人の成長はない。俺は決意した。
納戸から工具箱を持ってきてノコギリを取り出した。

 

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第1話 - 死体三つ(得道小路) - カクヨム